*エッセイ

2012年2月18日 (土)

仙台ぐらし/伊坂幸太郎

ここまで売れている作家を好きだというのはもう気恥ずかしいが、伊坂幸太郎が好きだ。
伊坂幸太郎の作品の舞台はほとんどが仙台で、なぜなら伊坂幸太郎が仙台に住んでいるからだ。
関東出身の彼が専業作家になってからも仙台に住み続けているその訳は、きっとそこが好きだからなんだろう(本人がどこかで言っていたような気もするけれど、私の勝手な思い込みかもしれない。大人には色々事情がありましょうし、実際のところはわからない)。

そんな仙台に暮らす作家が、地元の出版社から出した、仙台を舞台にしたエッセイ集。
本人が苦手だと言っているエッセイだけれど、1冊目は面白かった。2冊目のこれだって、前半の10編はいつも通り面白い。タクシーの話、猫の話、喫茶店の話、ルンバの話、車の話。殺し屋も死神もしゃべるカカシも出てこない、いつも通りの世界のお話。電車の中なのに、何度か笑ってしまった。

ただ仙台の普通の暮らしは、2011年に大打撃を受けた。なので、後半は、その大打撃の最中、あるいは直後の話。電車の中なのに、何度か泣いてしまった。

最後に書き下ろし短編。作中に具体的な地名を出していないけれど、これは石巻を舞台にしたお話。ああ伊坂幸太郎だ。と、電車の中で安心する。

伊坂幸太郎さん、私も、楽しい話が読みたいです。

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ネット本屋での取り扱いはBK1のみ。

2010年4月28日 (水)

ドルードルしよう/ロジャー・プライス (著)浅倉久志 (訳)

宇宙船ビーグル号で育っているので、浅倉久志氏の訃報は大ショックだった。ショックだショックだあーショックと言っていたら、twitterで薦められた本。

翻訳者泣かせなのは、聖書とラテン語と駄洒落。と言ったのは確か米原万里だったと思ったけど、駄洒落というか言葉遊びばかりのこの本にして、土屋賢二の作品だよ、と言われても信じてしまうくらい自然な日本語。職人。
なんだか、ナンシー関の記憶スケッチを思い出した。

米原万里もナンシー関もすでになく。

ああ合掌。

ドルードルしよう

宇宙船ビーグル号 (ハヤカワ文庫 SF 291)
宇宙船ビーグル号 (ハヤカワ文庫 SF 291)

2007年11月11日 (日)

実録現役サラリーマン言い訳大全/伊藤洋介

元シャインズ現東京プリンの兼業会社員、伊藤洋介氏本人もしくは周辺の人による「言い訳」の数々。

中吊りにつられて購入したものの・・・期待より面白くなかった、、、というか、期待しすぎました・・・。

一番のヒットは「38 浮気している現場を押さえられた」。
でも、彼女をして「言い訳が面白かったから許してあげる」と言わしめた言い訳を、ここに書くのはさすがにルール違反だと思うので、知りたい方は書店へ。

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2007年7月23日 (月)

ありがとう、さようなら/瀬尾まいこ

学校が苦手である。小学校も中学校も高校も苦手で、かろうじて大学だけは楽しく過ごしたけれど、それも2年になってようやく馴染んだ感じ。特に高校時代は記憶が白黒になってるくらい、鬱屈して過ごした。切り方によっては10代、特にハイティーンのために世の中が存在しているともいえるこのご時世に、ずいぶんともったいないことをしていたものだと思うが、もう一回やらせてあげると言われてもお断りする。大学からでいい。なので、自分の職業選択の中に教師という肢は全く存在しなかった。どころか、何かの拍子にうっかりなってしまわないように、教職課程は全てパスした(いや、他の科目もパスしまくったので、ギリギリ単位の卒業だった)。

さて、瀬尾まいこである。現役の中学教員である。最近文庫化されたデビュー作「卵の緒 」の頃は講師だったらしいが、今は晴れて教員になったそうだ。何かのインタビューで「私の本業は中学教師なので、楽しくなかったら小説は書かなくてもいいと思っている」というようなことを言っていて、ずいぶんと潔い人だー、と思った覚えがある。これは学校での話を綴ったエッセイ集。子どもが好きで、教師という仕事が好きなんだなぁ、と思わせるお話の数々。そういう話しか書いてないのだとは思うが、ほんとにゲンダイの中学生なのか?というくらい、いい子だらけ。最近、涙腺が激弱な私は恥ずかしながら何度か泣いたが(しかも電車の中)、おそらく普通の人は泣かない。

この作者らしいいいエッセイだと思うけど、この人の小説を読まずにエッセイだけで楽しいのかどうかは、ほとんどの作品を読んでしまっている私にはよくわからない。ということで、これから瀬尾まいこに挑む方は、上記デビュー作か、図書館の神様からがオススメ。

こんな先生だったら、もう一回中学生をやってもいいな。
とは、残念ながらどこまで行っても集団生活が苦手な私は全然思わないが、こういう人が教師になる世の中は悪くないと思う。

ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチ ブックス)
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2006年7月16日 (日)

もっとコロッケな日本語を/東海林さだお

数十年来、毎日新聞を購読している家庭に育ったので、この著者には馴染みがある。朝刊に「アサッテ君」という4コマ漫画を掲載し続けているからである。が実は、この人は文章も書く。そして面白い。

本書の中のオシは、「ドーダの人々」「野菜株式会社 リストラ編」「青春の辞典」。

もっとコロッケな日本語を

2006年7月15日 (土)

必笑小咄のテクニック/米原万里

通訳という職業は、頭の回転が速くないと絶対に勤まらないんだろうと思う。母国語で話されても理解できない話が世の中にはあふれているのに、それを瞬時に別言語に置き換えろとは。しかも相手は予定通り、予想通りの話をするとは限らない人間という気まぐれな動物。モノリンガルの私には、とても人間技とは思えない。

ロシア語通訳の大家であるこの著者のエッセイが面白いのは、その頭の回転の速さと、生まれ持ったユーモアのセンス、更には専門であるロシアの小咄好きな国民性かと思っていたのであるが。その彼女が古今東西の小咄の構造をを研究してみちゃったのだ、というのが本書。日常会話におけるちょっとした笑いの取り方としても参考になるかも。

参考書の形態をとっており、各章の最後に練習問題つき(やってないけど)。最後に出てくるイタリア語通訳の田丸公美子さんとの小コント(?)台本が抜群に面白い。それだけでも読む価値あり。

そして米原万里さん、先日鬼籍に入られた。出版時期とあとがきから判断する限りでは、おそらく本書が遺作だと思う。本当に残念。

必笑小咄のテクニック

2006年5月16日 (火)

池波正太郎劇場/重金敦之

著者が「池波正太郎劇場のプログラムのようなもの」とあとがきで言っているように、生い立ちから生活、さらに主な作品についてを語る、池波正太郎読本。どっちかに寄った方がいい気もするけれど、読み物として普通に面白い(とは言っても、池波作品を全く知らない、という人にはお勧めしない)。鬼平犯科帳も藤枝梅安もまだまだシリーズ途中、一体この先どうなっていったのだろうかと、続きが読めないのがとても残念。クリエーターは大変である。

さてこの池波正太郎先生、ご本人も大変な食通なのであるが、作品を読んでいるともう、出てくる食べ物がおいしそうでおいしそうで。毎回大根を煮たくなる。と思うのは私だけではないようで、作中の料理を特集した本も出ている。宮部みゆきの「初物語」や北森鴻の「香菜里屋」シリーズが好きな方で、うっかり池波作品を読んでない方は、ぜひとも挑戦すべき。

突然だが、私は昭和の始めのジェントルマン、白洲次郎が大好きである。実は池波正太郎先生、けっこうイメージかぶるのではないかと思うのだ。どちらも侠気と才能にあふれる伊達男にして生粋の東京人。

このことである。

池波正太郎劇場

梅安料理ごよみ
梅安料理ごよみ

剣客商売 包丁ごよみ
剣客商売 包丁ごよみ

2006年3月18日 (土)

増量・誰も知らない名言集/リリー・フランキー

東京タワー(未読)で大ブレイク、おでんくん(大好き)効果も手伝ってトップランナーにまで登場してしまった著者であるが、いやー、これは読者を選ぶ。間違っても東京タワーで感涙にむせんだ後に読んではいけない(未読だけど)。じゃあなんだ、面白くないのか!と問われたら、イエ、私は結構笑ってしまいました、、、と告白せざるを得ない。でもそれは、私が標準よりは大分、下世話な話に強いという事実があってこそ成り立つ感想である。苦手な方は気をつけましょう。

原田宗典のエッセイをすんごく下品にした感じ、とでもいいましょうか。

増量・誰も知らない名言集イラスト入り

2005年11月26日 (土)

白洲正子自伝/白洲正子

白洲夫妻の関連書籍を読んでいても、飢えた話、窮した話が全く出てこない。実家が破産したはずなのに高級外車(当時日本に3台しかないランチア)に乗ってたりする。時は戦中戦後。一体どこの世界の話なの。

しかし、次郎さんちは言ってみれば成金なのだが、奥さんちは正真正銘の華族なのであった。芸術を「観る」目は、そういう環境の人が一番育つのかもしれない。お嬢様らしからぬさばけた文体を含めて、読み物としてなかなか面白い。

夫婦ともに最期は「葬式不要、戒名不要」。まことにもって潔い。

白洲正子自伝

2005年11月24日 (木)

風の男 白洲次郎/青柳 恵介

戦後、GHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた男。なぜ、なぜ、なぜを繰り返す「Mr.Why」。あの時代に180を超える身長。完璧なクイーンズイングリッシュ。口癖は「プリンシプル」。関連する書籍を一気に読んだので、どれがどこに書かれていたのかわからなくなってしまったけど、エピソードに事欠かない人である。話半分にとるとしてもかなりカッコいい。だって強い者に強く、弱い者に優しい。

私が一番好きなのは、「『すみません』じゃなくて、『ありがとう』。"Say thank you"」

風の男 白洲次郎

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