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2006年7月

2006年7月18日 (火)

あなたに不利な証拠として/ローリー・リン・ドラモンド[駒月雅子]

「あなたには黙秘する権利がある。あなたの発言は、法廷で不利な証拠として使われる可能性がある」。タイトルはこの、「ミランダ警告」のフレーズより。

ルイジアナ州を舞台にした、オムニバス形式の物語。犯人を追え!というような話ではなく、5人の女性警官の日常を比較的淡々と描いた内容。とは言っても、ごろつきを蹴り上げながら、犯人に銃を向けながら、「あなたの発言は~」と告げるのが彼女たちの日常なわけで。作者は実際、警官だった経験をもつそうで、ふとした描写がやけに生々しい。きっと警察官の日常はこうなんだろうな、と思わせる。

ところでこの本、章見出しが日英併記。2編目の章題は「味、感触、視覚、音、匂い」で、真下の原題が「Taste,Touch,Sight,Sound,Smell」。並べられるから気になってしまう。頭文字がT,T,S,S,Sときて、全部5文字単語。作者が意識してないとは思えないので、「味覚、知覚、視覚、聴覚、嗅覚」か、一気に「五感」にしちゃうだろうなぁ、私なら。

あなたに不利な証拠として

2006年7月17日 (月)

溺れる人魚/島田荘司

一応、御手洗潔シリーズ最新刊。

「一応」と入れたのは、本書の中では「御手洗潔」ではなく、「キヨシ」もしくは「キヨシ・ミタライ」だから。彼はいまだにスウェーデンにいて、相変わらず難しい研究に勤しんでいるらしい。短編が4本の構成で、うち3編は「さらば遠い輝き」でレオナさんに手ひどくフラれたジャーナリスト、ハインリッヒの一人称。探偵は人によって語られるのみで、はっきりと姿を見せない。お忙しいんですかね。

少なくとも現代医学が戦争によって大躍進を遂げていることは間違いがないわけだけど、人間はどこまで残酷になれるのでしょう。どこまでが許される行為なのでしょう。一体誰が判断するのでしょう。どこまでが事実でどこからが創作か見当もつかないし、内容としては面白いのだけれど、読み進めるにつれて複雑な気分になる。

どよよーんとしたところで、古き良きワトソン役・石岡くん語りの1編が登場。これに救われる。並べ方抜群。こちらは「異邦の騎士」その後。未読の方は、本書の前でも後でも構わないので、併せて読むとよいのでは。ついでに「さらば~」が収められている、「御手洗潔のメロディ」も。

溺れる人魚

2006年7月16日 (日)

もっとコロッケな日本語を/東海林さだお

数十年来、毎日新聞を購読している家庭に育ったので、この著者には馴染みがある。朝刊に「アサッテ君」という4コマ漫画を掲載し続けているからである。が実は、この人は文章も書く。そして面白い。

本書の中のオシは、「ドーダの人々」「野菜株式会社 リストラ編」「青春の辞典」。

もっとコロッケな日本語を

2006年7月15日 (土)

必笑小咄のテクニック/米原万里

通訳という職業は、頭の回転が速くないと絶対に勤まらないんだろうと思う。母国語で話されても理解できない話が世の中にはあふれているのに、それを瞬時に別言語に置き換えろとは。しかも相手は予定通り、予想通りの話をするとは限らない人間という気まぐれな動物。モノリンガルの私には、とても人間技とは思えない。

ロシア語通訳の大家であるこの著者のエッセイが面白いのは、その頭の回転の速さと、生まれ持ったユーモアのセンス、更には専門であるロシアの小咄好きな国民性かと思っていたのであるが。その彼女が古今東西の小咄の構造をを研究してみちゃったのだ、というのが本書。日常会話におけるちょっとした笑いの取り方としても参考になるかも。

参考書の形態をとっており、各章の最後に練習問題つき(やってないけど)。最後に出てくるイタリア語通訳の田丸公美子さんとの小コント(?)台本が抜群に面白い。それだけでも読む価値あり。

そして米原万里さん、先日鬼籍に入られた。出版時期とあとがきから判断する限りでは、おそらく本書が遺作だと思う。本当に残念。

必笑小咄のテクニック

2006年7月14日 (金)

青空の卵/坂木司

ひきこもりの探偵とワトソン役の友人によるシリーズ。3巻で完結。「青空の卵」は短編が5つ、「仔羊の巣」が3つ、最後の「動物園の鳥」は長編。2006年7月現在、2作目までが文庫化済み。

ミステリの形をとってはいるものの、どちらかというと主役二人の成長の方に重きがおかれる青春小説。悪意は出てくるが悪人は出てこない。面白かったので、3冊まとめて一気読み。主役たちと一緒に何度か泣いた(すぐ泣く主役なのである)。

シリーズ全体で、うまく序破急がとられているので、通して読むと尚面白いと思う。ただし、1作目を読んでみて、読きを読む気になった場合の注意事項。1作目「青空の卵」(文庫版)の解説は、シリーズ完読まで読まない方がいい。解説の直前にあとがきがあるので、そこで止めておくことをお勧めする。私はうっかり読んでしまって、ちょっと残念な思いをした。シリーズの先の展開を解説に載せるのは反則だと思うなー、北上次郎。ちなみに2作目の解説では、有栖川有栖がひきこもり探偵のことを「好きになれない。読者がとことん愛しにくいように人物を設定している(のがとても効果的だ)」と書いているのだが、探偵役の鳥井真一、私はけっこう好きなんだけどな。まあ、ダメな人はダメなんでしょうねぇ、と思ってamazonのレビューを見たら、やっぱり賛否両論まっぷたつ。すべからく趣味と好みの問題ってことで。

ちなみにamazonのレビューは、2作目と3作目は全体的に好意的。つまり1作目でダメな人は先に進まないわけね。そりゃそうだ。

青空の卵
青空の卵

仔羊の巣
仔羊の巣

動物園の鳥
動物園の鳥

2006年7月 4日 (火)

いたずら魔女のノシーとマーム〈5〉恐怖のタイムマシン旅行/ケイト・ソーンダズ[訳:相良倫子・陶浪亜希]

イギリスの教会に住み着いた、2人の魔女のシリーズ、これで5作目。

シリーズもかなり後半に入り、登場人物たちのキャラもかなりくっきりはっきり。気が強い魔女はより強く、弱い魔女はより弱く、悪役はより悪役らしく。内容的にはバック・トゥー・ザ・フューチャーと、インディ・ジョーンズが入り乱れた感じのアドベンチャー。今をときめくダ・ビンチも登場(でも、さすがに暗号はありません)。

今回のヒットは、またまたゲップ&ゲップ出版による「誰でも知ってる下品な歌」。お値段は9マジョシリング。あ、「わたしの激動の人生」より安いんだ。

 

いたずら魔女のノシーとマーム〈5〉恐怖のタイムマシン旅行

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